コラム的なもの

三点支持の呪縛を解いてみる

仰々しいタイトルで申し訳ありません。

本日はフルートの基本のひとつ「三点支持」についてお話ししたいと思います。

 

フルートを習い始めの時、必ず楽器の構え方や姿勢について教わったと思いますが

なかなかしっくりとこないまま進んでいるのではないでしょうか?

 

多分、どのフルート教室でも基本同じようなことを伝えるでしょう。

三点支持、それとも四点支持?

どちらも間違いではないですよね。

しかし、それが全てではない、ということも頭の隅に置いておいたほうが良いでしょう。

 

ここで、私の話をしたいと思います。

実は私は8歳からフルートを始めましたが

フルートの見た目とは裏腹に子供にとってはこれを持って構えるということが

なんと難しく疲れることだったでしょうか。

先生から毎回注意されていても、どうしてもきちんと支えることができず

ちょっと変な持ち方のまま成長してしまいました。
※今ならば、頭部管がU字に曲がったものがあるので少し安心です。

 

大人になったある時、ある先生の単発レッスンを受け三点支持を指摘され

徹底的に、かなり自分でも「直さなくちゃ」という思いで

必死でこの三点支持を身につけようと頑張りました。

それから一ヶ月ほど経った頃この三点支持をマスターしたのでしょう。

身につけた時は本当に楽にフルートを構えられたように思いました。

 

右手の親指、左手の人差し指の付け根、顎の三点です。

右手の小指での支えは一切しない、というものですが

かなり指が動くようになり自分でも納得していましたし

そしてこの支持法はかなり長い間変わりませんでした。

自分が指導する時もこの支持法を伝えてきました。

 

ところが、それから10年くらい経った頃、ちょっとした異変を感じていました。

手首に力が入っていると自分でも認識できるくらいになり

ある日、特に高音域のフィンガリングで自分の意思とは違う指が動くようになりました。

意識して動かそうとすると手首が固まりますますおかしくなるのです。

 

三点支持をもう一度見直しても同じ結果に・・・。

そこで鏡を見て確認すると、動かない指を動かそうとすると

なんと、手首で動かそうとしているのが分かりました。

手首で指をひっぱり上げていたのです。

鏡を見るまで気付かずにいたことに驚きました。

 

そこで選んだエチュードがトレバー・ワイの教本6「応用編」を
※現在、改訂版では「高度な練習課題」となっています。参考まで下のほうにリンクを貼りました。

解説してある通りのメニューで毎日自分の指の動きを確かめながら行って

3週目くらいからかなり良い状態になりました。

それで数年は乗り切ってましたが

ある日また練習すればするほど何か違うものに指が乗っ取られているかのような動きになり

その日を境に早いパッセージを演奏することが困難になりました。

少し目の前が暗くなりかけました。

「これが所謂フォーカルジストニアというものだろうか」と。

 

そしてとうとう、自分の肉体と精神を見つめ直すという作業が始まりました。

再び三点支持を見直すことになりました。

 

どの指を動かす時、首や肩、背中に力が入るのか

なぜそこに力が入るのか

指を動かすという作業が全身から影響を受けていることに気づいたのです。

早く動かそうとすると何故か肩で動かそうとしていることに気づきました。

それは人によって認識が異なることだろうとは思います。

 

いろいろと観察していると

どうやら、身体だけでなく精神や心の状態も絡んでいること。

 

そこからまた数年もの間それについて探求することになったのですが

ある日師匠のアドバイスを頂くことができました。

それは、私へのたった二つの質問でした。

「楽器を支えるのはどこ?」

 

昔信じきっていた三点支持のことを言うと

師匠は首を振って言いました。

「あなたの肘はどうしてそんなに上がっているのか?」と。

このたった二つの質問でこれまでの三点支持の呪縛から解き放されました。

肘が上がっていることで肩にも負担がかかっていることに気づきました。

もちろん解決したと思えるまで2年くらいかかりましたが・・。

 

”身体を固定してはいけない、いつでも頭は楽で、肩や喉もやわらかで

そして身体が自由になると指を動かせる”

ということが大事です。

楽器の重心、バランス、キーに置かれている指が少ない時と多い時どう違うのか

三点支持だけではうまくいかないことを本当の意味で知ったのです。

 

楽器の重み、手や顎にかかる圧力は運指によって変化します。

それを自身で確認することができれば少し楽になるでしょう。

どうすれば良いか・・・ちゃんと観察して考えてみては如何でしょう。

答えは自分の中にあります。

 

また年齢によっても筋肉の使い方が変化します。

三点でしか持ってはいけないという認識しかない場合はちょっと不安ではないでしょうか?

もちろん、三点は基本ではあることは重要ですが

身体を自由にするにはそればかりだとうまくいかないのです。

 

それに気づいたのは、師匠からの「答え」ではなく貴重な2つの「質問」だけ。

もし答えを聞けたとしても、それは師匠自身が持っている答えで

私には伝わらなかったのではないかと思います。

答えは自分にのみ存在します。

一人一人少しずつ違っているのだと思います。

 

私の場合はそれを認識した時点から

三点支持という自身が持っている呪縛からようやく解放されたと思います。

 

あと、ひとつ言えるのはやはり毎日楽器を演奏していくことでしょう。

すぐ忘れてしまうのも人間ですし、身体の変化も受け入れて

優しいメロディーでも良いので演奏してみてください。

練習しなければ、ではなく、奏でてみようとすることです。

 

最近はこういう同じような記事をアップしているように思いますが

とても大事な要素ですので何度でも記事にしてしまいます。

どうぞお付き合いください。

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